●トランスファ修理
 
 ある日、スピードメーターが動かなくなりました。ケーブルは7年位前に新品に交換していたのでケーブル切れは早すぎます。怪しいのは@ケーブル切れAメーターが壊れたBトランスファが壊れた の3本です。
 修理の基本、ひとまず簡単な所からトラブルシュートしてゆくとメーターは壊れていない。ワイヤーも切れていないのでジャッキアップしてタイヤを回し、トランスファの速度取り出し部分を観察しました。すると回ってないうえに妙なガタが・・・・・。

 
 つまりこの部品が壊れたという事です。後に分解して解りましたが、ご覧のように磨耗していました。このトランスファは前期用で、奥にあるのが後期用なのですが、ギア自体の長さが違います。定かではありませんが、ギアのかかる面積を増やすべく耐久性を求めて変更されたのだと思います。

 
 原因はハッキリしているので部品交換してしまえばよいのですが、この部品・・・トランスファを降ろさないと交換できません。不動状態になっては困るのと、現状使用中のトランスファもオイル漏れがあるので、予備のトランスファを軽くメンテナンスして載せかえる事にしました。
 予備のトランスファは家の裏で盆栽化していたので物凄い状態です。その姿はまさに苔むした岩・・・・・・・ワビサビです。とにかく分解整備にあたって異物が混入すると面倒ですし、作業性も悪いので徹底的に清掃しながら各部を確認します。幸いベアリング類に異常は無く、オイルシール類の交換程度で済みそうです。

 
 この型のトランスファは、とにかくオイル漏れが激しいのですが、よく漏れるのはオイルシールで、このあたりはきちんとメンテナンスしなくてはなりません。見落としがちですが、件のスピードメーター取り出し部のオイルシールからもよく漏れます。そしてそれらのオイル漏れで解りにくいのですが、ケース合わせ面からも結構漏れます。というのも、どうもガスケットにオイルが染み込んで漏れてくる様子。このあたりは全交換します。

 
 センターブレーキもオイル漬けですので清掃。本体も綺麗にしました。清掃に使うのは灯油少量、ワイヤーブラシと麺棒、細かいところは針で突き崩して、ウエスそれを拭います。一度に綺麗にしようとせずに、3段階くらいに分けて根気よく続けなければなりません。特にこのトランスファは表面が化石のようになっていたので大変でした。
 ここまでするかは個人の問題ですが、後々の整備や点検の時には綺麗な方が作業性が良いので自分のために頑張ります。

 
 今回発注したのはオイルシールとガスケット、一番右に写っているプラグです。実はこのプラグも硬化して亀裂が入り、オイルが漏れる部品です。是非交換してください。ケース合わせ面はオイルストーンで研磨して面を出していますが今回はガスケットにごく薄くシーラーを塗って組み付けました。本来、面が出ていれば液体ガスケットは必要ありませんし好みではないのですが、オイルの染み込み防止です。

 
 組み立てが終わったらオイルシールを打ち込みますが、手が汚れていて撮影をサボりました。リップにラバーグリースを塗って打ち込みますが、オイルシールより大きい当て物を用意しましょう。忘れがちですがリップの擦れる部分はしっかり研磨しておきます。左画像のような状態もオイル漏れを招きます。

 
 見た目全く変わりませんが、オイルを規定量注入してフランジやステーを取り付ければ完成。ネジ類も新しく、全てタップでさらってありますので車輌への組み込みも楽なものです。また10万キロほど頑張ってもらいましょう!